事業を成功させるために大切なこと

大学時代の友人と飲んできて聞いたこと。

とある業界でも3本の指に入るような出版社では、いまだに会社内の飲み会やタクシーもろもろ全て経費として切れるらしい。そして、一般的な飲み会もすべて取引との飲み会として領収書を切り経費として計上するみたい。

 

2005年以降、出版業界の市場規模は年々小さくなってきている。情報の掲載先は紙からウェブに移り、コンテンツを作れる人は出版社や編集者を通さず、自分の作品を世に出して稼げるようになってきている。さらに消費者も情報を無料で得ることをより強く求めるようになったことで、ビジネスモデル自体の変化も求められている。

 

実際日本の出版社は、本業である出版はほぼすべて赤字で、昔から持っている土地を転がして黒字化しているところがほとんど。(TBSもテレビは赤字で、土地で稼いでいる)

 

そんな状況においても昔からの慣習を継続している姿は、改めてすごい業界だなと思った。何より「払っておくからいいよ。どうせ会社のお金だし」という言葉が成果を出していない社員から出ている姿を見て、危機感の浸透が薄いのかなと思わされた。

(この社員に限ったことかもしれないし、あえて戦略的にそうしているのかもしれないが)

 

ただ会社のキャッシュが底を着きそうになった経験のある人、または同じような危機感を覚えた人なら中々できないことだろうと思う。経営者のような飲み会=投資のような役割ならまだしも、大学同期との飲み会で出てくるのはどうか。

 

そこで思い出したのは、IVS2012summer workshopで聞いた、グリー執行役員の吉田大成さんの言葉。

「モチベーションという言葉が嫌いなんですよね。仕事をやりたくないってだけの言い訳だと思っていて。

本来であれば、モチベーションという言葉が出てくる前にチームや個人でビジョンを共有したり、何が何でもやり遂げるということを何よりも大事にした方がいいと思っています。要は腹を括るというか。

事業なんてすごく頑張っても1%や2%しか成功しないと僕は思っているので、”その状態の中でいかに全員のメンバーが腹をくくれるか”というところを一番最初に持って来れるか。”みんなで腹を括る時間をいかに作るか”というのを僕の中で大切にしています。」

※一部省略

 

おそらく、この出版社は”腹を括る”瞬間がないのかなと。また他の社員の話を聞いても、遅くまで残る=充実感のような雰囲気を感じたこともある。(少ない情報から立てた仮説であり、あくまで主観のためもちろん断言はできない)

 

元々全員が死ぬ気でやっても成功するか全く見えない世界で、さらに市場が冷え込んできている。そんな状況下で腹を括れていない姿を見て、改めて業界を客観視できた気がした。